なお、勝手に親しみをこめて“ささきさん”と表記させていただきます。
DigiFi No.4で野々村氏はUSB DAC付ヘッドホンアンプについての記事で、同様の認識を元に、ヘッドホンでの試聴体験で「耳を鍛える」ことによりスピーカーを選ぶ判断基準も身につくという内容のことを書かれていました。
この意見にはとても賛成します。
自分のピュアオーディオの経験を思い返してみます。所有しているオーディオシステムの音質は、好きな音源を好きな音量で頻繁に聴く生活をしていてだんだんわかってくるようなものかもしれないと思います。しかも音質の判断基準はハイファイな音のいろいろな製品を聴くと得られてくるもののようですから、そういう高価な製品に頻繁に触れる体験が必要になります。しかし高級オーディオ店にそうそう頻繁にお邪魔することもできません。
そこでささきさんは、高価なスピーカーと違ってヘッドホンは個人でいくつも所有できることを利点として書かれていましたが、それがとても意味あることになってきます。
いろいろなタイプの高音質を身近に体験する生活ができるからです。このような生活の中で音の判断基準が得られて「耳が鍛えられる」ことでしょう。また自分の音の好みもできてくるかもしれません。
こういう経験を経た後、ピュアオーディオに進んだとしたらより自分らしく有効な投資ができるのではないかと思います。こだわると巨額の投資になりますから、慎重にならざるを得ませんから。
ピュアオーディオに進むというよりも、ヘッドホンオーディオからスピーカーオーディオへの比重の移動といったほうがいいかもしれません。
音が良いならヘッドホンのままで良いではないかと言われそうですが、スピーカー再生の良さを知っていると、ちょっとヘッドホンだけでは暮らしていけないなと思ってしまいます。たぶん音楽愛好家の多くの方はそうではないかと想像します。
本来あるべき音像定位での音楽再生の魅力でしょうか。
個人的に今の段階での思いですが、デジタルファイルのトランスポートとしてのPCは、ピュアオーディオ基準で見てもかなりの能力を持っていると感じます。もちろんPCからのデジタル出力は必須ですが。
ですからもし今すぐスピーカー再生にこだわるなら、PCからの再生はそのままにしてその後からグレードアップを考えると思います。CDトランスポートに投資する分をスピーカーなどにまわせますからね。